建築設計事務所のWebサイトリデザイン。「空気まで設計する」と語る事務所の透明な空間性を、デジタルの上に再現した。
空建築設計事務所は、光と風の通り道までを設計に織り込む独自のスタイルで知られる。しかしWebサイトは2015年制作のまま放置され、作品の持つ繊細な空間性がまったく伝わらず、問い合わせ件数も年々減少していた。
そこで掲げたのは「建築を見るWebではなく、建築を体験するWebへ」。写真を並べるカタログではなく、画面の中を訪れた人が実際の建物を歩いているかのように感じられるサイトを目指した。
主役はあくまで建築写真。デザインの仕事は、その写真が最も美しく見える「余白」を設計することだった。グリッドは画面の呼吸を意識して組み、スクロールに合わせた視差表現で写真の中に奥行きが生まれるよう調整した。
動線は「歩くように閲覧する」をコンセプトに、ページ遷移ではなく連続した一つの空間として構成。テキストは最小限に抑え、必要な情報だけが歩みに合わせて静かに現れる。建物の中を進むときの、あの透明な時間の流れをWebに翻訳した。
公開後、問い合わせ件数は3.2倍に増加。平均滞在時間は4.2分と業界平均の2倍に達し、訪問者が作品をじっくりと「歩いて」くれていることが数字にも表れた。AWWWARDSではHonorable Mentionを獲得している。
「サイトを見て、空間の空気感まで伝わってきた」という問い合わせが増えたことが、何よりの成果だった。建築のもつ静かな力を、デジタルでも損なわずに届けられることを証明したプロジェクトである。