時刻表のいちばん下
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制作日誌
漫画づくりの無料ツール「ウツシ」と「コマワリ」を、一日かけて何度も手直ししました。ツールへ
ウツシは、左に項目、右に詳しい設定と重なりの一覧が並ぶ画面になりました。部屋のまわりを回り込む動きを左右・上下それぞれ選べるようにし、スマホ用の操作ボタンも置いています。建物・家具・人物・乗り物などを選んで置く欄も新しくしました。ウツシへ
コマワリも同じ並びの画面にそろえ、どちらも「+ ファイルを開く」から写真や保存したファイルを読み込めるようになりました。コマワリへ
その日に実際にやったこと。
STORY · 創作
創作日記
創作(フィクション)
時刻表の、いちばん下の行に乗ったことがない。
家の前のバス停には、終バスの時刻が赤い字で書いてある。二十三時十二分。駅から帰る道はほかにもあるし、そんな時間まで外にいることもめったにないから、あの赤い数字は、ずっと飾りのようなものだった。
その夜は、たまたまだった。友人の引っ越しの手伝いが長引いて、気がついたら駅の時計が二十三時を回っていた。改札を出ると、ロータリーの端に、見慣れた行き先のバスが一台、ぽつんと灯りをつけて待っていた。
乗ってみると、客は自分を入れて三人だった。いちばん後ろの席で眠っている学生と、前のほうで文庫本を開いている年配の女性。運転手さんは、昼間よりもいくらかゆっくりとハンドルを切った。
窓の外を、見慣れた道が流れていく。昼間は気にも留めないパン屋のシャッターに、子どもが描いたらしいチョークの猫がいた。角の家の二階だけが、まだ明るい。誰かが机に向かっている影が、カーテンに映っていた。
停留所に着くたびに、誰も乗らず、誰も降りない。それでもバスはきちんと止まり、扉を開け、少し待ってから閉める。その律儀さが、なんだかとても良かった。
家の前で降りるとき、運転手さんが小さく「おやすみなさい」と言った。昼間のバスで、そう言われたことはない。
赤い数字は、飾りではなかったらしい。時刻表のいちばん下には、いちばん静かな一本が走っている。
この文章は創作(フィクション)です。登場する出来事や人物は実在のものではありません。