霧の橋

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制作日誌
「使う」の無料ツールに「カクシ」を加えました。写真の顔や住所、車のナンバーなど、見せたくない部分をなぞると、モザイク・ぼかし・塗りつぶしをかけられます。四角で囲むのも、筆で自由に塗るのもでき、強さも変えられます。元の画像は端末の中だけで処理し、どこにも送りません。カクシへ
あわせて、これまでのツールのいくつかで見つかった不具合を直しました。
その日に実際にやったこと。
STORY · 創作
創作日記
創作(フィクション)
川のほうから、白いものが流れてきていた。
日曜の朝、早く目が覚めたので、散歩に出た。土手の上に立つと、川面いっぱいに霧が出ている。向こう岸は見えない。いつも渡る古い橋が、途中から霧の中へ消えていた。
橋の手すりに手を置いて、ゆっくり歩き出した。足元の板はしっとり湿っていて、ひと足ごとにかすかに鳴る。数歩進むと、振り返っても、もう渡ってきた岸が見えなかった。前も後ろも白い。聞こえるのは、下を流れる水の音だけだ。
霧の中では、距離がうまく測れない。手すりの柱が、ひとつ、またひとつ、白の奥から現れては後ろへ消えていく。いつもなら一分もかからない橋が、ずいぶん長く感じられた。
途中で、自転車のベルが一度だけ鳴った。どこから来たのか分からない。しばらく待ったけれど、誰も現れなかった。きっと、少し離れた別の橋だったのだろう。霧は、音の来る方向まで隠してしまう。
橋の真ん中あたりで立ち止まって、川を見下ろした。水面も霧に溶けて、どこからが水でどこからが空気なのか分からない。その境目のない白の中に、黒い鳥が一羽、すっと降りていって、また見えなくなった。
向こう岸に着くころ、霧の上のほうが、ほんのりと明るくなってきた。日が昇ってきたのだ。帰り道に振り返ると、橋はもう端から端まで見えていた。いつもの、ただの古い橋だった。
あの白い中を歩いた数分間は、橋のどこにも残っていない。けれど、手すりに触れた手のひらだけが、まだ少し冷たい。
この文章は創作(フィクション)です。登場する出来事や人物は実在のものではありません。