新しい眼鏡の帰り道
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制作日誌
トップの最初の一画面に流れる五つの景色を、大きな画面でもくっきり見える高精細な写真に差し替えました。画面の大きさに合わせて、ちょうどよい大きさの写真が選ばれます。開いてすぐの景色は先に読み込むようにしたので、最初の一枚が前より早く現れます。トップへ
その日に実際にやったこと。
STORY · 創作
創作日記
創作(フィクション)
「ずいぶん長く、同じのをお使いでしたね」
眼鏡屋の店員は、古いほうのレンズを光にかざしながら、感心したように言った。言われてみれば、最後に作り直したのがいつだったか思い出せない。少し見えにくいとは思っていた。けれど、見えにくさというのは毎日ほんの少しずつ増えるので、昨日との違いがわからないのだ。
新しい眼鏡を受け取って、店を出た。
最初に驚いたのは、街路樹だった。葉の一枚一枚に、ちゃんと縁がある。緑の塊だと思っていたものが、実は何百枚もの葉の重なりで、風が吹くとその一枚一枚が、それぞれ別の向きに裏返る。
信号の向こうのパン屋の看板に、小さな字で「火曜定休」と書いてあるのも読めた。何年も前を通っていたのに、知らなかった。バス停の時刻表の隅に、誰かが鉛筆で描いた小さな猫がいるのも、今日はじめて見つけた。
うれしい反面、少し落ち着かない。見えすぎる世界は、情報が多くて、歩く速さが遅くなる。古い眼鏡の、ぼんやりした世界にも、それなりの居心地のよさがあったのだと、今になってわかる。
家に着いて、古い眼鏡を引き出しにしまう前に、もう一度だけかけてみた。部屋の灯りが、柔らかくにじむ。これはこれで、悪くない景色だ。
引き出しを閉めて、新しいほうをかけ直す。窓の外では、向かいの家の屋根の上で、知らなかったアンテナが、夕日を細く受けていた。
この文章は創作(フィクション)です。登場する出来事や人物は実在のものではありません。